住宅のさまざまな改修工事を助成する制度は、全国の市町村で見られます。幅広いリフォーム工事が対象なので、一定の条件を満たせば外壁や屋根の外装工事でも申請は可能です。
マイホームの外壁塗装の塗り替えというと、数十万円もかかるという大掛かりなイメージがあり、費用をどうねん出しようかと頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
こういったときに賢く活用したいのが、助成金または補助金制度です。
自治体によっては子育てや若年世代が対象の改修工事に対しての助成制度を設けている場合もあります。
今回は外壁改修において利用できる助成制度について、詳しく見ていきましょう。
補助金と助成金の違い
助成金と補助金の違いは、一言でいうと受給までのハードルの高さが違います。
補助金は他社とのコンペ形式(他の応募のものと比較し選ばれる)のため、申請数が多いと倍率も上がります。
それに対して助成金は、給付条件を満たしていれば、ほぼもらえる、という点に違いがあります。
そのため、補助金は申請を出しても受け取れない場合も多くあります。
外壁塗装で補助金、助成金は受けられるのか
2022年4月の時点では、国が設けている外壁や屋根の塗装工事に関する助成金、または補助金制度はありません。しかし、各自治体の制度では対応をしている市町村もあります。
とはいえ、残念ながら全国のすべての市町村というわけではないので、まずはお住いの市町村で確認してみる必要があります。
補助金、助成金の条件
各都道府県の市町村や自治体の助成金制度は、誰でも受けることができるわけではありません。補助金、助成金を設けている自治体の条件があります。
特にほとんどの自治体で条件として挙げられているのが、申請する地域に在住する方、対象の住宅の所有者、居住者(賃貸を除く)、税金に滞納のない方。という点です。
それ以外にも、申請する地域に営業所がある施工業者に依頼する塗装工事であることや、申請よりも前に着工しないことなども含まれます。
外壁塗装での補助金、助成金はいくら
補助金と助成金の違いはあるものの、一般的に補助金は工事代金総額の5パーセントというのが多く、場所によっては10パーセントや20パーセントといったところも存在しますが、上限金額も設けているので、その範囲内までといった感じです。
埼玉県富士見市の場合は、改修工事費用かける5パーセント(上限10万円)です。たとえば、150万円の工事費に対しては5パーセントで7.5万円なので、150万円から7.5万円を引くと142.5万円となります。よって、補助金を差し引いた工事代金は142.5万円です。
補助金を受け取れるまでの流れ
まず、各自治体の助成金の申請を入手します。場合によってはインターネットからダウンロードも可能です。そのあと、ご自宅や対象の建物を塗装業者に実際に見てもらい、見積書を作成してもらいます。それが済んだら各自治体へ必要書類を提出します。
その提出書類をもとに、自治体は審査を行います。その中で、提出書類の虚偽や不備の有無を確認、不備がある場合には訂正、再度提出となります。もちろん虚偽があればその申請は無効です。
晴れてクリアすると、審査後に助成金が決定します。これで下準備はできたので、工事に入ります。無事に工事が完了し、塗装業者から実績報告書を受け取ると、請求書と一緒に実績報告書を自治体へ提出。その後、自治体より交付確定通知書が送付され、指定口座へ助成金の決定金額が振り込まれるといった流れとなっています。
屋根塗装で補助金、助成金は受けられるのか
助成金などを出している多くの自治体では、外壁塗装だけではなく、屋根の塗装でも助成金の申請が可能となっています。
屋根、屋上における高反射率塗料を使用した工事において、「国内の第三者機関における日射反射率が50%以上」または「同等以上の性能」など条件はありますが、多くの自治体では、「助成対象経費の1/4」または「施工面積㎡×助成単価」のいずれか小さい額が支給対象になることが多くあります。
高反射率塗料には太陽光を反射する機能があり、室内温度を下げる効果を持つので、一般的な塗料と比べて費用は高くなりますが、気温の高い日に、エアコンなどを利用する頻度が減り、省エネ対策として各自治体が「補助金」「助成金」を設けていることが多くなっています。
高反射率塗料(遮熱塗料)の耐用年数は10年から18年とされていています。
塗装での補助金、助成金を使うときの注意点
自治体ごとに適用基準が変わるため、対象となる自治体にしっかりと確認をした上で行うことが重要です。
申請前の着工は無効
補助金制度は、施工する前に申請をして、自治体より許可が出た後に施行を開始しなければなりません。
いくら補助金制度とはいえ、応募者が多い場合などは抽選で交付者を決定することもあるので、先に工事をしてしまった、あるいは完了後の申請はNGとなることがあります。いずれも誤った手順ですので、補助金の活用の旨をしっかりと施工業者に説明をした上で、着工のタイミングを見極めてください。
単一の業者が施工した工事のみ対象
自治体によっては、リフォームの抱き合わせ工事による異なる施工業者での施工は、対象外となるケースがあるので注意が必要です。
たとえば、外壁工事で10万円の補助金が出ていたとします。その他の工事にも違う補助金が20万円出ていたとします。工事は同時進行で行い、違う業者同士がそれぞれ工事を行ったとすると、結果的には異なる業者に発注しているので補助金を取り下げられてしまう恐れがあるのです。
補助金目当てで一気に工事をしてしまうと本末転倒です。必要な工事は慎重に、不要な工事は控えましょう。
施工前、施工後の写真や図面が必要な場合がある
補助金申請時に工事を行う場所の写真、図面などの準備が必要な自治体もあります。これらの資料はたいてい業者側で用意してもらえると思いますが、そこもしっかりと業者に補助金制度の旨を報告し、可否の確認をしておきましょう。
施工対象の建物が自治体内になければならない
こちらは、当たり前といえば当たり前ですが、施工する建物が自治体内になければなりません。自治体によってさまざまですが、借家でも交付対象可もあれば、借家の所有者が親族であれば可ということもあります。
また、基本的には対象の建物に住んでいなければなりませんが、入居予定の建物も対象となる場合もあります。引っ越し後に外壁塗装を計画しているのであれば、入居先の自治体へ確認をおすすめします。
税金の滞納者は補助金の交付対象外
補助金は税金などから交付されるため、税金滞納者は外壁工事に限らず公的な補助金制度を受けることはできません。各税金の納付はしっかりと行っておくべきです。
まとめ
各自治体で設けている助成金と補助金、交付までの道のりは違いますが、だいたいの金額は同じようなものです。外壁や屋根の修繕は先送りするといいことは何一つありません。
どうせ工事をするのなら、賢く行った方がいいでしょう。
残念ながらお住いの地域に助成金や補助金がなかったとしても、何も補助金だけが全てではありません。規模や、施工手段のほか、塗料の選択肢で補助金くらいの金額の節約は可能かもしれません。まずは、塗装工事をしている業者に親身になって相談をしてもらうのもひとつの手段です。